欧州の航空需要の動向について、様々な意見が見られるようになってきた。英国でワクチン接種が順調に進み、また欧州としても往来再開に向けてアクセルを踏んでいる中で業界の中では回復への期待が高まっているが、実際にはどうだろうか。

例えばSimple Flyingによると、航空管制を司るユーロコントロールが発表した年内の需要回復シナリオでは、5月が2019年比で39%であったのに対し、最良の場合で9月に70%を超え、12月に19年比79%にまで回復すると予想。

一方、最も厳しいシナリオでは変異株やワクチンの遅れにより感染が拡大し続ける状況を想定し、10月にようやく51%と50%を超えるものの、そのまま横ばいで12月も50%に留まると予想している(中間のシナリオは12月時点で70%)。

間違いない点としては、英語で「pent-up demand」と表現される、消費者がこの1年超の間に我慢に我慢を重ねて溜め込んだ旅行への意欲が非常に大きいということ。Routes Onlineによると、英国では政府がポルトガルを渡航先として安全と評価したところ、4月には1ヶ月で1万815席しか運航されなかった2国間の路線が、7月には47万3394席にまで増加する予定。ちなみに2019年7月は55万1291席だった。

EUでワクチン証明の導入に向けた手続きが進んでいることにも期待がかかり、全体では7月1日の稼働を目指しているが、BTN Europeはブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、クロアチア、ポーランドの7ヶ国が先行して利用を開始できるようになったと報道。更に他国の追随も予想される。

ただし、欧州内の各国が同じ状況かというとそんなことはなく、例えばスイスインターナショナルエアラインズはもともと国内線が全供給量の1%未満で、さらに出張需要への依存度も高く、はっきりとした回復の兆しは全く見えていないという。とはいえ、だからといって同社が何もしないわけはなく、ポルトガルやギリシャ、クロアチア、デンマーク、エストニアへ6路線の開設や供給増を予定。こうして、条件は同一ではないものの、各国・各社で回復に向けた取り組みが続けられている。