木曜日の午後に1回目のワクチン接種をし、ちょうど24時間が経過したタイミングで本稿を書き始めました。利き腕と逆ということで打ってもらった右肩が結構痛みますが、生活に支障が出るほどではなく、副反応で寝込むというような話に比べればだいぶマシなのだと思います。(土曜日の朝にはほぼ収まりました。)

ちなみに、痛みの種類としては「ろくに体を動かしていなかったのに突然スポーツをしてなった筋肉痛」が針が刺さった周辺にだけある感覚で、動かすとぎゅっと絞るような抵抗と鈍い痛みが感じられました。

先に接種を済ませた医療関係者の妻からは2回目の方が酷いと脅かされており、これより酷いのがまた来るのかと思うと憂鬱ですが、とはいえ個人的には抗体獲得に一歩近づいたという晴れやかな気持ちの方を強く感じるところです。

さて、今週配信したメールニュースの中で最も多く読まれた記事は、ちょうどそのワクチンについてで、海外へ渡航しようとした時に最も受け入れてもらいやすいワクチンはどれか、という話題でした。具体的には、1位はアストラゼネカで、私が接種したファイザー・ビオンテックは2位となっており、3位と4位はロシアのスプートニクVと中国のシノファーム、そして5位は日本でも使用されているモデルナという順です。

ここで気になるのは、アストラゼネカが約120ヶ国で承認されているのに対しモデルナは50程度と半分以下という点で、今後世界で往来再開の流れが本格化するにつれてギャップが解消されていくだろうとは思いますが、海外渡航時に自分が接種したワクチンが相手国で通用するかを確認しなければならない状況が続くとすると、消費者としても旅行業界としても厄介です。

また訪日の観点でも、特に中露製のワクチンの扱いをどうするかは今後の課題となっていきます。これらのワクチンは、製造している2ヶ国だけでなく「ワクチン外交」で他の国々でも広がっており、だからこその順位の高さでもあるわけですが、どの国から訪日客を受け入れるかという戦略と不可分の判断となります。

中露製ワクチンは信用ならない、という意見は理解でき、私も自分が接種するかと問われたら正直なところできる限り避けたいと思ってしまいますが、原点に立ち返ると重要なのは抗体です。欧米製のワクチンであっても接種後に感染する人はするわけで、安全を期するなら全員に抗体検査を義務付けるのが良いような気がしますが、どうなのでしょうか。もしお詳しい方がいらっしゃれば課題や可能性についてお教えいただきたいと思います。

気がかりなのは、米CDCが「あと数回の突然変異で既存ワクチンを逃れる恐れがある」とか「ワクチンを接種した人が無症状でデルタ株を拡げる可能性がある」などと言っているところで、もしそんなことになったらこれはきっと心を折られるんではないかと思いますが、各国政府はこれまでと同じような対応をし続けるのでしょうか。

日本では、2類感染症として結核と同じ扱いをされており、コレラや腸チフスの方が低いという、素人からすると違和感のある状況ですが、インフルエンザと同じ5類にして無症状と軽症者は街の医療機関でも対応できるようにするべきだという主張もあちこちで聞かれるようになっています。

シンガポールではそうした方向へ舵を切ろうとしているところですが、旅行観光産業としては日本を含む各国が同様の選択を早くしてくれるよう願うとともに、願うばかりでなく自ら動く気概も必要なのではないかと思います。(松本)