昨年9月、まだnoteを使って情報発信をしていたころにその時点で得られていた情報から「海外旅行の今後を予言」と題した文章を掲載していました。そんなことをふと思い出しましたので、答え合わせをしてみようと思います。

結論から言ってしまえば大外れで、その意味では面白くもなんともないのですが、当時書いていたのは

・ロンドンとニューヨーク間で、往来を容易にする新しい枠組みのテストが始まり、先例となる
・EU内の各国でバラバラだった渡航規制が統一されて旅行者の安心感が増す。こちらも他国、他地域に先鞭をつける形
・主要国が共同で渡航規制を緩和、14日間の自己隔離を前提とする国は減り、到着時のアトランダムでの検査が主流となっていく
・コロナをカバーした旅行保険が一般化する(回復期には受入側の国や地域、事業者が率先してその費用を負担する)
の4点でした。

細かく言うと、1点目についてロンドンではなく米国/イタリア間では旅客を全員検査することで隔離を不要にするコロナフリーの「バブルフライト」的な仕組みが実現したり、2点目についても(ろくに稼働しないまま立ち消えたものの)統一された基準でリスクを色分けして管理するルールが採用されたりしており、0点というわけでもないのですが、少しでも明るい未来を期待していた当時の思いからすれば完全な大外れです。

というか、これらの項目は約11ヶ月が経過した現在でもほぼそのままこれからの予言として再提示できる内容で、それだけほとんど進展なく時間が過ぎてきたと言えます。

1年前と今とを比較して考えると、目に見える最も大きな違いはワクチンと変異株でしょう。しかし、この2つの要素は「どんな矛でも突き通せない盾と、どんな盾でも突き通す矛」という逸話とぴったり同じ関係となっており、そう考えると結局、1年前からずっと「先のことは何もわからない」状況はまるで変わっていないと言えます。

ただし、コロナ禍を耐え忍ぶ生活も長くなってくると悲しいベテラン感も出てきて、「どうやら日本政府や多くの自治体は全然頼りにならないぞ」とか「期待しすぎると痛い目を見るな」とか、そういう経験則は備わってきます。

現在はワクチンが希望の星で、欧米ではそれが追い風となって航空座席数も回復傾向が顕著ですが、逆に言うとそれしか頼みの綱はなく、逆に変異株はあと何回か変異するとワクチンが効かなくなる可能性があるとも言われており、ラムダ株、シータ株といった新しい変異株が話題をさらうようになるのがむしろ必然なのではないかと感じます。

日曜日には閉幕式が催され、オリンピックという賭けに負けてしまった日本の敗戦処理、損切り、形作りが無事に終わりますので、おそらくそこから海外との往来再開を含めた経済対策が本格的に始まるだろうと期待しており、もう少しの辛抱だと切望もしていますが、それもこれも変異株次第でしょう。

そうした中で注視しておくべきは、英国やシンガポールのように、ウィズコロナに舵を切った、あるいは切ろうとしている国の動向で、多少の感染や死亡はやむを得ないものとして経済復興に力を入れる国が他にも増えてくるのが旅行観光産業にとって最も望ましいシナリオです。残念ながら日本には先陣を切るような胆力はなさそうですが、アーリーアダプターくらいにはなれるのではないでしょうか。

一方、英国やシンガポールのような国すらも方針転換をせざるを得ない場合、おそらくそれはワクチンへの望みを打ち砕くような変異株、あるいは感染力だけでなく致死率も高いような変異株が出てくるケースでしょうけれども、その場合はまた1年後も同じようなことを言っているのではないかと思います。

こんな予想こそ外れてほしいですが、昨年の夏だって欧州では需要が目に見えて回復し、日本でもGoToトラベルが批判も受けつつも盛り上がっていたわけで、やはり「最善を願いながら最悪に備える」ことが最も重要だと思うところです。(松本)