オミクロン株の報告を受けて日本やイスラエルが外国人の入国を禁止するなど往来制限強化の動きが広がっているが、The New York Timesによるとバイデン米大統領は11月29日、国民に対しオミクロン株について「パニックではなく懸念すべきもの(a cause for concern, not a cause for panic)」と呼びかけた。

バイデン氏は「米国民の安全を守るために、努力を惜しまず、あらゆる障害を取り除いている」と語ったほか、今冬に「閉鎖やロックダウンではなく、より広範な予防接種、ブースター、検査などでコロナと戦う」方針を示したという。

またTravel Weeklyによると、WHOも28日に各国政府に対しアフリカ南部の国々への渡航禁止措置をとらないよう要請。「南アフリカとボツワナが変異株の情報を世界に発信したスピードと透明性は称賛に値する」「渡航制限は感染拡大をわずかに抑える役割を果たすかもしれないが、人命や生活に大きな負担をかける」などと語ったという。

南アフリカでも、各国の渡航制限について大統領が「大変残念」としたほか観光大臣は「英国、日本、イスラエル、欧州連合と協力して、可能な限り最善の介入策が講じられるよう努力」するとと語ったとのこと。

こうしたなかで状況を注視するデスティネーションもあり、ホノルル市長は「状況を注意深く見守っていく」が「今のところ過剰に反応する必要はない」との考えを表明。また、デルタ航空とユナイテッド航空も南アフリカ路線を運航継続する方針を決めている。

とはいえ、コロナ禍の最初期のような反応を示す国が出てきているなかで旅行業界は対応を迫られており、例えば帰国時のPCR検査と隔離が復活した英国の旅行会社では何千人もの顧客に連絡を取ることを余儀なくされている

また、英国旅行業協会(ABTA)も「公衆衛生を第一に考える必要を理解しているが、すべての到着旅客にPCR検査を受けさせ陰性の結果が出るまで隔離を求める決定は、ようやく立ち直ろうとしていた多くの旅行会社にとって大きな打撃」であるとし、「決定は慎重に検討され、リスクがないことが明らかになった場合には速やかに制限が解除されるべき」「パンデミックで最も大きな被害を受けた旅行会社への支援が検討されるべき」などとコメントした。