英国のTMCの業界団体であるビジネス・トラベル・アソシエーション(BTA)はこのほど、国際航空運送協会(IATA)による「NDC(New Distribution Capability)」についてこれまでの道のりを振り返るレポートを発表し、「進展の遅さと場当たり的アプローチ」への失望を表明した。
レポートは「NDCへの移行は全面的に支持する」としつつ、2016年に示されていたNDCの未来像と現状を比較し、例えば「航空プロダクトの旅行会社や法人顧客、旅行者への流通が現代化する」との主張に対しては「一部を除いてほとんど変わりなし」と断定。航空会社だけでなく旅行会社や法人、旅行者にもメリットがあるとしていたものの、現実には航空会社とアグリゲーターのみが流通コストの削減で利益を得ていると指摘した。
また、86社の航空会社がNDCへの対応を予定しているとされていたがIATAのリーダーボードに入っているのは23社に留まっていること、さらに、NDCにはいくつかのバージョンがあり年内に21.3のバージョンがリリースされる予定であるのに対し、航空会社の対応状況では17.2が25社、18.1が10社、18.2が17社、19.1が4社、19.2が5社とバラバラな状況であることも問題として挙げた。
このほか、パーソナライゼーションや未使用の航空券、グループ予約、インターライン、NDCのPNRと他の航空コンテンツとの統合などの重要な機能が未実装であることなども指摘し、「TMCは多額の資金と技術を投入している」「約束が果たされていない」と不満を表明した。
そして、出張規定の管理やビザ手配、宿泊や地上交通の手配、24時間の緊急時対応などTMCのみが法人顧客や出張者に提供しているサービスが存在すること、TMCは航空会社にハイイールドの取引をもたらしていること、顧客獲得などの費用を含めると直販と非直販で大きな費用の差はないことなども列挙し、TMC経由の流通でかかる費用を投資として捉えるべきとも訴えた。