PCR検査の陽性はしつこく続く

ここからは帰国方法をまとめる。冒頭で触れた通り、基本的には今のところPCR検査で陰性が出ない限りは帰国が認められず、逆に言えば陰性の結果さえ手に入ればすぐに搭乗が認められるので、所定の隔離期間が終わったら検査を受けていくことになる。(これも繰り返しだが、隔離が不要な場合にはすぐにでも検査を受けて構わない。)

ただし、残念ながら一度陽性になってしまうと実体験としてもなかなか陰性にはなってくれず、ネット上では平均20日間は陽性が出続けるとか2ヶ月は出るといった医療機関からの報告が見られるところ。筆者の場合は5月23日の検査で最初に発覚し、それから12日目の6月3日の検査でも無症状の陽性だった。

陽性でも回復済みなら帰国可能、必要な「領事レター」の取得方法は?

では20日間とか2ヶ月間を海外で過ごさなければならないかというと、そんなことはない。

現地の医師から回復済みであるとお墨付きをもらい、それと搭乗予定の航空便情報、パスポート情報、最初の陽性発覚時の検査結果などとともに領事館に提出することで、日本の外務省から入国許可が得られて「領事レター」と呼ばれる文書を発行してもらうことができ、それによってPCR検査による陰性と同等の扱いで帰国が認められるようになる。

筆者の場合、6月2日の午前の検査でも陽性だったために午後に医師からの回復証明を入手し夕方に領事館に提出したところ翌日の昼には発行してもらえたが、確実な情報としては「最長3営業日での発行」ということだった。

今回の医師の診断は、事前に検査結果やパスポートコピーを送り、オンラインで症状の有無を聞かれ、さらにカメラの前で抗原検査を実施して陰性を示す方式。「こういう条件を満たすべし」といったチェックリストは存在しないが、一般的には7~10日間程度で感染を拡大するリスクが小さくなるようで、それが診断に影響を与えるのは間違いない。その意味でも、やはり最初の検査はなるべく早めの方が良いように思う。

二兎を追っても許される

「今日は陽性でも明日は陰性かもしれない」という思いと「3営業日」のどちらを取るかは人それぞれの判断だが、二兎を追うことも禁止はされていなかった。例えば1日に領事レターを依頼するとして、4日の便に搭乗予定と伝えておきつつ2日の検査で陰性だった場合には2日の便に搭乗しても構わないし、また想定より早く3日にレターが手に入った時もすぐに航空券が手配できるなら同日中に出国して問題ないということだ。

とはいえ、検査をすればするだけ当然費用も時間もかかり、陽性の結果を見るたびに焦りや落胆に見舞われる。先述の通りしばらく出続けるものという情報もあるので、どこかで領事レターに頼る方向へ一本化した方が精神衛生上も良いかもしれない。なお、必要な資料や書類とその要件は変わる可能性もあるので、その都度領事館なりに問い合わせてもらうのが良いだろう。

いざ入国、手続きのスムーズさに拍子抜け

最後に、無事に出国して搭乗し日本に到着してからについて。筆者が入国したのは6月4日で、ちょうど1日に入国要件が緩和された直後だったので今は変わっているかもしれず、これからも変化していくことが予想されるのでどの程度参考になるかは不透明だが、結論から言うと何の摩擦もなくスルッと入国できてしまった。

「できてしまった」といっても悪いことをしたわけではないが、検疫の健康確認用フォームで「滞在中に陽性者と接触した」「滞在中に症状が出た」と回答したにも関わらずそれについて質問をされる場面はなく、またせっかく入手して印刷した領事レターも(チェックイン時には必要だったが)入国審査の過程では誰かに見せる機会がなく、本当にこれで大丈夫だったかと少々不安になったほどだった。

しいて書き記しておくならば、MySOSアプリからの検疫手続きの事前登録が時間の猶予は十分あったのに受け付けてもらえなかったが、それも到着後にその旨を説明すれば空港内で問題なく登録でき、事前に聞いていた長い待ち時間もなく済んだ。

なお、入国前の検査要件が廃止されればこうした苦難はなくなるが、果たしていつになるか。同様に検査を求めている米国では独立記念日の7月4日までには不要となるとの見方もあるが…。

結論、保険は必須!

ということで、最後に改めてまとめると、一度陽性になってしまうと陰性になるか回復したと判断してもらえるまでは帰国できないため1週間から10日くらいは滞在が延びるのが自然、回復後も陽性が続く場合は「領事レター」を取得することで帰国可能で、到着後の手続きも今のところスムーズ、となる。

なお、費用面では、宿泊や飲食はもちろんのこと、検査や検査会場への移動、回復証明の発行などで支払いが発生し、日本や滞在先のあちこちとの通信費用も生じる。その意味で、コロナに対応した保険の加入は必須と断言したい。

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