往来制限の撤廃などによる旅行需要の急回復と人手不足などにより米国と欧州各国で航空便の欠航や遅延が相次ぎ、夏のピークシーズンに向けて不安が高まっている。
もともとは欧州で問題が顕在化し、英国では業界側と政府や議員が互いに双方の責任を追求し合う事態にもなっていたが、USA TODAYによると6月16日の木曜日に1750便超、17日も1470便、さらに18日も東部時間16時までで775便が欠航。遅延は17日のみで8940便に達したという。
USA TODAYの金曜日と土曜日の状況についての記事では、デルタ航空(DL)とアメリカン航空(AA)が最も多く欠航しており、DLは両日とも7%、AAは8%と5%をキャンセルしたという。いずれもリージョナル路線は含まない。
アメリカン航空広報担当は主な要因は天候と説明しているが、デルタ航空のパイロット労組は顧客に宛てた公開書簡を公表。このなかでは「パイロットはデルタ航空の信頼性とサービスに誇りを持っている」とした上で、「引き続き安全運航最優先」するとしつつ「現在は休日にも業務にあたっており、時間外飛行も現在のペースで行くとこれまでで最も忙しかった2018年と2019年の合計を秋には上回る見通し」であると説明。そして、影響を受ける旅客に共感するとともに受け入れがたい状況について経営陣に対処を求めた。
しかし、こうした混乱は夏に向けて今後も続いていくとの懸念が高まっているところで、Business Travellerの記事によると、ルフトハンザは7月にフランクフルトとミュンヘンを発着する国内線と欧州域内線で900便の欠航を決め、ユーロウィングスでも同様に数百便に影響が出る予定。ヒースロー空港のCEOは、こうした混乱が最大で18ヶ月続く可能性もあるとの考えを示している。
こうしたなかで、Simple Flyingと、TTGによるとアムステルダム・スキポールとロンドン・ガトウィックの両空港は今夏に旅客や便数を制限することを決定。スキポールは1日あたり約7万人とし、航空会社が計画している供給量より1.35万人少なくする。一方、ガトウィックでは1日あたりの便数を7月は825便、8月には850便と段階的に引き上げていく計画という。
なお、需要急増と人手不足以外でも、ブリティッシュ・エアウェイズやライアンエアー、イタリアの空港、英国の鉄道などでストライキの可能性も報じられている。