コロナ禍で往来がほぼ停止した後、現在はリベンジ旅行の需要が大きく盛り上がりを見せている一方、世界の人気観光地ではコロナ前から顕在化していたオーバーツーリズムの問題の解消が一大トピックとして注目され、実際に具体的な制限もはじまっている。

日本でもハワイ州政府観光局が「マラマハワイ」の言葉のもと積極的に取り組みはじめているが、世界ではこの数日だけでもスペイン、イタリア、南太平洋諸国などでの動きが報じられている。

スペインについて書いたのはEuronewsで、マヨルカ島が「英国からの低予算の旅行者」を歓迎しない方針をとったことを紹介。現在は滞在費用が前年から33%増と値上がりしているが、これはウクライナ戦争などによるインフレだけでなく単価の上昇による部分もあるとのこと。

スペインでは、ランザローテ島も同様に「観光客が飽和状態」であるとして英国からの訪問者数を制限する計画を明らかにしているという。

また、thelocal.itによると、アマルフィコーストのヴィエトリ・スル・マーレが2020年に交通制限を導入したほか、最近では6700人の住民に対して2022年通年で20万人が訪れたというランペドゥーザ島が観光客の車両をピーク時にすべて排除する計画を発表。

こうした車両の制限は以前から他の都市でも導入されていたが増加傾向で、さらに観光スポットなどの事前予約制も浸透しはじめ、ベネツィアでも日帰りの旅行者を対象とする入島税が計画されている。

このほか、THE CONVERSATIONによると、タヒチやニューカレドニア、パプアニューギニアなどが加盟するSouth Pacific Tourism Organisationの主催シンポジウムでもオーバーツーリズムが焦点となっており、単に数を追ってのリカバリーは目指さず、「各国が観光に依存している」との外部からの認識から脱却し「地域の観光が各国とその住民に依拠している」ことを前提とすることなどが合意されているとのこと。

そして実際に、大規模な観光開発プロジェクトに強い反対の声が上がったり、タヒチが定員3500人以上のクルーズ船の寄港を拒否するといったことも起きている状況だ。

ただし、THE CONVERSATIONは、ホテルやクルーズなどの大手企業などからの圧力も高まるなか、各国政府が税収などの増加よりも地域の幸福を優先し続けられるかは不透明とも指摘している。