私は色々と趣味が多く、食に写真に絵に読書にサッカーに音楽に、と幅も広いのですが、このうち写真については、大学時代にバネや歯車のみで動く古いフィルムカメラに熱中していました。その時の経験や知識は今の仕事でも写真撮影の際に生きていて「芸は身を助く」を実感しています。
しかし、現在は当然デジタルカメラしか使っていないのですが、この前ふとカメラの基本を忘れてしまっていることに気付き愕然としました。
写真撮影は、水道の蛇口の栓を開けてバケツに水を溜める作業に似ています。レンズを通してフィルムの許容量に適した光を集めるのが約束で、シャッターを長く開けすぎれば水があふれるように光量過多となって真っ白な写真になります。以前は今のレンズと明るさでこのフィルム(バケツの大きさ)なら、絞り(蛇口の開け具合)とシャッタースピード(蛇口を開ける時間)はこれくらい、と大体分かっていたのですが、今はすべてカメラ任せです。
私にとって趣味の写真撮影はその場の空気感をまるごと切り取ろうとする作業で、面倒な設定も含めて楽しい時間でしたので、趣味自体を失ったような喪失感があります。