Timeによると、コロナ禍で航空需要が落ち込んだ結果、CO2の排出量が大きく減少したが、ワクチン接種の進展などによる需要回復が始まるなかで、航空会社は対策を迫られている。

Carbon Monitorによると航空産業のCO2排出量は2020年に前年比48%減となったが、米国や欧州の渡航規制緩和で需要が急拡大すると予想される。

航空産業は温室効果ガスの削減技術は他産業よりも開発が遅れていて、他産業の取り組みが進展するにつれて今後世界全体の排出量に占める航空産業のシェアが急増していくと見られている。

コロナ前には、2050年段階で航空産業のCO2排出量は2015年の3倍に増えると予測されていて、コロナ禍で2.3倍にまで下がったがそれでも倍増する見通しだ。

こうしたなかで航空各社は顧客の助けも借りて「CO2ネットゼロ」を宣言したり、SAF(持続可能な航空燃料)の活用方針を積極的に打ち出したりしているところ。

例えば欧州では航空産業が共同で2050年までにネットゼロ化する目標を定めているほか、国としてもフランスのように鉄道へのシフトを進めたり、コロナ禍での公的支援の代わりに環境対策を義務付けたりしている。

また、航空会社にとって顧客である一般企業も気候変動対策を求められる中で、マイクロソフトやネットフリックス、セールスフォースなどの大手企業が航空会社のSAF利用を促進し、それによって社員の出張の環境負荷を軽減していく取り組みも始まっている。

冒頭紹介したTimeの記事では国際航空運送協会(IATA)の環境問題担当ディレクターのコメントも紹介されていて、「今後、多くの消費者が航空機を利用する際に『この選択は理にかなっているか』と自問することになる。この問いに対して我々航空産業としても答えていかなければならない」としている。

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