米Travel Weeklyは9月5日、クルーズのカテゴリー分類のわかりにくさを分析する記事を公開した

もともとはマスマーケット、プレミアム、ラグジュアリーの3つだったところが、現在はコンテンポラリー、アッパープレミアム、アップマーケット、ウルトララグジュアリーといった言葉も登場。クルーズ船社の幹部のなかにはもはやこうした分類はするべきではないと主張する声もあるという。

現在ではコンテンポラリーと呼ばれるマスマーケットは伝統的には家族向けでカリブ海を中心に運航し、プレミアムはそれよりも少ない乗客で寄港地が多く料金も高く、ラグジュアリーはさらに小さな船できめ細かで充実したサービスをより高額な料金で提供していた。

しかし80年代に入って、オーシャニアクルーズがプレミアムとラグジュアリーの間を埋めるアッパープレミアムクラスとして誕生したことをきっかけに細分化が始まった。

ちなみにオーシャニアの誕生は、旅行会社にとってもプリンセスやホーランドアメリカなどのプレミアムクラスからラグジュアリークラスへと顧客をステップアップさせるのに苦労していたところが、間に1段階入ったことでスムーズに移行できるようになったという。

また記事では、イールドマネジメントの観点でプレミアム客船がコンテンポラリーレベルの料金を設定する可能性があること、逆にコンテンポラリー客船でのプロダクトやサービスが以前よりも大きく向上していることなどもカテゴリーの境界を曖昧にしていると分析している。

こうした状況に対して、例えばロイヤルカリビアンのSVPは自社の体験はプレミアムでありカーニバルやNCLと同じカテゴリと捉えられる必要はなく、競合しているのは大型船を運航している点だけ、と主張。

また、セレブリティ・クルーズCEOも「周囲はラグジュアリーとしては大きすぎると言ってプレミアム扱いしたがるが、ラグジュアリーとサイズは関係あるのか。ラグジュアリーとスケールは両立可能」「小型船によるウルトララグジュアリーではなく、美しく贅沢で、上質なリラックスしたラグジュアリー」と訴えている。

そして、販売する旅行会社側でもこのクルーズ会社はウォルマートのよう、こちらはターゲットやノードストローム、と他のものに例えて説明している例を紹介。重要なのは(クルーズに限らずホテルについても)各ブランドを理解したうえで、顧客がどのブランドに適しているかを適切に案内できることと指摘している。

記事ではこのほか、別のクルーズ会社幹部の視点や「オールインクルーシブ、家族向け、多世代旅行向け、大人限定など、客観的事実でブランドを定義することの方が重要」とする旅行会社の意見なども紹介されている。