欧州旅行委員会(ETC)がこのほど発表した最新レポート「LONG-HAUL TRAVEL BAROMETER 3/2023」で、日本市場で長距離の海外旅行への意欲が顕著に高まっている様子が報告された。
同レポートは日本のほか米国、カナダ、豪州、中国、ブラジルの各市場について長距離旅行への意欲を三半期ごとに確認するもの。今回は8月の時点で9月から12月までの期間の旅行を対象に各市場で1000人ずつアンケートが実施された。
日本では、9月から12月までの間に長距離の旅行をする可能性が高いと答えた回答者が全体の35%となり、なかでも25%は欧州に行く可能性が高いとし、とくにこのうちの5%はその可能性がとても高いと回答したとのこと。
全体での35%の数値は、例えば中国の83%(うち欧州が74%、以下同)、米国の54%(41%)、カナダの61%(38%)、豪州の58%(35%)、ブラジルの52%(37%)と比較すると劣っている。しかし、日本の過去4年間の数値に目を向けると2020年と2021年は20%未満、2022年も21%に留まっており、さらに2019年でも21%であったことから考えるといわゆるリベンジ需要が顕在化してきた可能性が感じられる。ただし、行き先を決めていない回答者の割合が他国よりも非常に高かったことから、レポートでは実際に渡航するかどうかには疑問の余地ありとしている。
欧州旅行をためらう理由では旅行費用高騰が各市場で最多となり、日本では34%の回答者が選択。視点を変えると、それだけの割合で費用の負担が感じられているにも関わらず意欲は上昇しているとも言える。なお、日本での費用以外の理由では休暇の長さの問題が17%、他の市場への関心が16%などとなった。
日本市場の旅行の特徴では、期間は1週間未満が50%、1~2週間が45%ととなったほか、航空券を除く1人1日あたりの予算では、100€未満が26%、100€~200€が32%、200€以上が22%、未定が20%となった。予算については、中国市場が100~200€は24%、200€以上は68%と他を圧倒。次いでブラジルが21%と44%で続いた。
費用高騰への対策では、ショッピング、宿泊、食事などへの出費を削減する意思も確認しており、他国と比べた日本の特徴としては、ショッピングや宿泊には出し惜しみしつつ、飲食への出費は削りたくない傾向が見て取れる。
日本からの行き先では、フランスとイタリアが23%となったほか、ドイツが19%、英国とオーストリアが13%、スペインが9%、フィンランドとスイスが8%などとなった。訪問予定の国の数は平均で2.6ヶ国だったという。