米国の旅行業界メディアSkiftは、エクスペディア副会長兼CEOのピーター・カーン氏が旅行観光産業の経営者らに対し、発展途上国のワクチン接種を旅行業界が支援しようと呼びかける文章を9月10日付けで掲載している。
カーン氏は冒頭、「発展途上国では人口のたった1%しか接種が終わっておらず、世界の恵まれない地域は悲劇に苦しみ続けてる。私たちと同じ地球市民であるこれらの人々は、私たちの助けを切実に必要としている」と指摘。そして、公的機関だけで解決できる問題でなく、また最終的には自分たちの利益にも結びつく行為であり、うまくすればその他の大きな世界的課題を解決するための方策にも繋がるかもしれないと訴えている。
エクスペディアとしても、グループが運営するアプリでユーザーが予約をするごとにユニセフに対し寄付をする「Give the World a Shot」プログラムを先月実施し、すぐに1000万ドルの目標は達成したが、焼け石に水だとしている。
こうしたワクチンの公平な普及(vaccine equity)を訴えるコンテンツは海外メディアで増加しており、例えばHotel News Resourceは米国では8月25日に人口1000人あたり1115回の接種が実施されたが、コンゴ民主共和国では1000人あたり3.5人のみだったと指摘。アメリカの一部州やロシア、モルディブ、インドネシアなどで進められているワクチンツーリズムは、貧困国の金持ちにワクチンへのアクセスを提供して格差を助長する可能性があるとしている。