コロナ禍の只中からリカバリーへと視点が移るなかで旅行観光産業でも広告などマーケティング活動を強化する企業や組織が増えているが、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を積極的に打ち出す例が目立っている。

ヴァージンアトランティック航空(VS)は、コロナ禍となって以降で初の広告キャンペーンで社員にスポットライトをあて、「See the world differently」をキャッチフレーズに社員と顧客の豊かな個性を尊重する姿勢を強調。

「多くの航空会社の乗務員は人間味に欠ける」との調査結果に対し、VSは機内でも地上でも「ありのままの自分」でいることが推奨され、化粧の自由を認めているほか、女性乗組員がスカートとヒールだけでなくズボンとフラットシューズを着用する選択肢も提供しているという。

また、セレブリティクルーズも、旅行観光関連のマーケティングにおいて使用される画像や映像にダイバーシティが反映されていないとの課題意識から「オールインクルーシブ・フォト・プロジェクト」を開始。世界各国の写真家と手を組み、すべての写真をロイヤリティフリーで自由に使用できるようにし、業界全体の取り組みを促す狙い。

また、過去に「最も人種差別的な都市」と批判を受けたこともあるボストンは昨年から「オールインクルーシブ・ボストン」キャンペーンを開始。今月には第2弾として、同地の多様性を打ち出す動画を公開した。

このほか、航空会社やホテルでも社内外で様々な取り組みが進められており、例えばデルタ航空では昨年、最上級顧客限定でDE&I促進の重要性について学び議論する機会も提供している