国際航空運送協会(IATA)はこのほど第77回の年次総会をボストンで開催し、2050年までに「ネットゼロ」を目指すことを発表した。世界の気温上昇を産業革命前よりも1.5℃に抑えるというパリ協定の目標に沿ったもの。
2050年には100億人(2019年で45億人)が飛行機を利用すると想定されるといい、そのニーズに応えつつネットゼロを実現するためには2050年に少なくとも1.8ギガトンの排出を削減する必要があり、さらに現在からの累計では21.2ギガトンに上るという。
具体的な対策としては、SAF(持続可能な航空燃料)や新しい航空機、オペレーションやインフラの効率化、新しいエネルギー源の活用、二酸化炭素の回収と貯留、信頼性の高いオフセットなどを列挙。2050年段階で、SAFで全体の65%、水素など新しいエネルギー源で13%、効率性の向上で3%、炭素の回収で11%、オフセットで8%を削減するシナリオを立てているという。
航空産業内での努力のみでは達成できないことから、SAFの生産を含めて政府や関係機関、企業の積極的な協力も要請している。
なお、IATA事務総長のウィリー・ウォルシュ氏は、世界初の商業飛行から最初の商用ジェット機が誕生するまでの期間が35年、そこから初のジャンボジェット機が登場するまでが20年であったとし、30年後のネットゼロは野心的な目標であるものの「人類の創意工夫によって手の届くところにある」と呼びかけている。