クルーズライン国際協会(CLIA)がこのほど発表した年次の市場レポートで2023年の乗客数は2019年比6%増の3150万人との予想が示された。2022年は31%減の2040万人だったところからの急増で、さらに2025年には3720万人へと増加するとの予測。国連世界観光機関(UNWTO)は2023年の海外旅行者数を2019年比15%減から20%減と予想しており、クルーズ市場が先行して回復している状況が示されている。

2022年の国別の市場規模では、北米が1540.8万人、西欧が722.6万人で全体の大半を占めたものの、2019年からの伸び率では北米が22.4%増、西欧が33.0%増であるのに対しアジアは372.6%増で373.8万人と急拡大。豪州・ニュージーランド・太平洋諸国も187.0%増の135.2万人などと増加している。アジアは顧客層の年代が若いことも特徴という。

供給量では、ベッド数ベースで2016年が48.3万人分だったところから2019年は58.2万人分となり、2022年には62.5万人、さらに2028年には74.6万人分へと増加していく見通し。

このように増加する供給量を満たし予測通りの成長を実現するには、少なくとも2025年までに400万人のファーストタイマー獲得が必要とのこと。船会社も新造船の建設時や改装時に専用キャビンを増やしたり期間の短いコースを設定するなど力を入れているという。

また最近はクルーズ経験者の再利用意向も高まっており、2022年にはコロナ前より6ポイント上昇。特にミレニアル世代は88%、X世代は86%などとなった。ちなみに、こうしたミレニアル、Xの両世代にZ世代を加えた層では、旅行会社の利用が増えていることも特徴としている。

レポートではこのほかサステナビリティについて消費者の意識の高まりやそれに対する船会社側の取組状況が説明されており、同様にアクセシビリティなども焦点のひとつとなっている。