欧州では、スペインやオランダが日本からの旅行者を検査も不要にして受け入れを再開している中、欧州連合(EU)内で7月1日に運用が開始された通称「ワクチンパスポート」が日本でも注目が集めている。このページでは備忘録として、旅行者目線でその概要をまとめておく。

そもそもワクチンパスポートとは?

EUのワクチンパスポートの正式名称は「Digital COVID Certificate」で、「新型コロナウィルスに対するワクチンの接種を完了したこと」、「検査で陰性の結果が出たこと」、「新型コロナウィルスへの感染から回復したこと」のいずれかを証明するデジタル化した証明書のこと。

EUの根幹である「移動の自由」の早期回復を目的とした仕組みで、ワクチンパスポートを保持している個人は加盟各国で各国の国民と同じ扱いを受けられるようになる。

「パスポート」と呼ばれてはいるが出国/入国の必須条件ではなく、あくまでその手続を簡単にするためのもの。

仕組みは来年6月31日まで有効。延長の可能性も。

誰が誰に発行する?

発行するのは各国で、方法は各国によって異なるが、費用は一律で無料。ワクチンパスポートは紙またはデジタル形式で交付を受けることができる。基本的にはEU各国に在住する市民が対象だが、後述する通り外国人旅行者への発行も否定されていない。

どんな情報が含まれる?

ワクチンパスポートには姓名や生年月日、QRコードが記され、そのQRコードには証明する内容と証明書の真実性を示す発行主体(病院や検査機関、保健当局など)のデジタル署名の情報が含まれる。

証明する内容の詳細は?

ワクチン接種証明であれば、接種したワクチンの種類とメーカー、回数、接種日。対象のワクチンは、欧州医薬品庁(EMA)が承認しているファイザー、モデルナ、アストラゼネカ、ジョンソンアンドジョンソンの4種類で、日本で現在使われているものはすべてカバーされている。なお、各国が独自に他のワクチンを加えることも認められるが、それを他の加盟国が受け入れるかは受け入れ先次第となる。(欧州に限らず相手国がどのワクチンを受け入れているかの確認はこちら

検査による陰性証明の場合は、検査の実施日時と場所、検査の種類とその結果。検査とワクチンパスポート発行のタイミングについては今のところ規定がなく、各国政府に委ねられている。PCR検査と抗原検査の結果を格納できるが、保存されるのは最新のデータのみとのこと。

回復歴の証明については、陰性の検査結果が出た日と有効期限が保存され、期間は陽性が出た日から180日以内。抗体検査は今のところ認められていないが、今後変更の可能性がある。

どのように機能する?

QRコードをスキャンするとEUが立ち上げたシステムを通してデジタル署名の正当性が確認される仕組みで、その際にシステムも訪問先の国も名前などの個人情報を確認したり保存したりすることはなく、その結果として情報漏えいのリスクも避けられるとのこと。

入手するには?

発行するのは各国なので、訪問先に到着した際に発行を要請することになる。欧州委サイトによると、ワクチン接種済みであることを示す証拠など必要な情報を提示することで、加盟各国がその妥当性を判定して発行の可否を決定する。(日本はEUが安全と認める国のリストに入っているため、不要不急の観光目的でも入国が可能。)

一方、中期的な取り組みとして、EU外の国が発行するワクチンパスポートが国際的な規格に適合していてEUのシステムと互換性がある場合には、第3国のワクチンパスポートでもEU発行のワクチンパスポートと同等に扱うことになるとも記しており、日本政府が7月中にも発行を開始して往来制限の緩和を実現したい方針を示していることからすると、夏の間にそうした段階まで進む可能性も十分考えられる。

導入済みの国一覧:

オーストリア、ベルギー、ブルガリア、クロアチア、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、オランダ、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー