PhocusWireによると、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はこのほど国連環境計画(UNEP)とアクセンチュアと共同で「ネットゼロ・ロードマップ」レポートを公表し、旅行観光関連企業に対し温室効果ガスの排出量削減の取り組み強化を呼びかけた。

レポートでは5つの点について取り組みを推奨しており、具体的には「基点と目標を定める」「定期的に進捗状況をモニタリングして発表する」「業界の内外で、また政府と協力する」「必要な資金や投資を提供する」「気候変動に関する認識、知識、能力を高める」ことを要請。

最近の業界内の調査では、Booking.comのレポートで世界の旅行者の83%が旅行に際してサステナビリティが重要だと答え、69%は業界からよりサステナブルな選択肢が提供されることを望んでいると回答したという。

なお、WTTCは業界内の排出量削減の難しさを3つのランクに分けており、最も困難なのは航空で2050年までにネットゼロ、2030年までに25%から30%の削減が目標と設定。

これに対してホテルやクルーズは中程度で2040年にネットゼロ、2030年には60%から70%の削減を、最も容易とされたのが旅行会社で、2025年までに少なくとも50%、2030年までにネットゼロを目指すべきと訴えた。

業界内では、COP26の開催に合わせた動きが目立っており、「観光における気候変動対策に関するグラスゴー宣言(Glasgow Declaration on Climate Action in Tourism)」に300を超える企業や団体が署名したほか、国際民間航空機関(ICAO)の目標を達成するための「International Aviation Climate Ambition Coalition」が21ヶ国によって立ち上げられ日本も参加

また、アコーや錦江、メリアなどの大手ホテル企業は、共同で責任ある旅行観光産業の実現のためホテル業界のサステナビリティの基本水準を明確で透明性のある方法で引き上げることに共同で取り組むことを発表している。