観光客が殺到し現地の自然や住民の暮らしに影響を与えるオーバーツーリズムという言葉は今や一般メディアにも登場するほど浸透しているが、最近の海外事情を見ていると事態の深刻さが増している印象。これまでは「改善しなきゃだめだよね」という観念的、大局的な取り上げ方が中心だったのに対し、最近はより詳細に、具体的になってきているのだ。
例えば、(今月末から導入される予定で運用方法も明らかにされた)ベネツィアでの入場料徴収やハワイなどで進む人気観光スポットの予約制など、ルールによって負担を軽減する策は以前から取り組みが始まっていたが、最近はそれだけには留まらず「来てくれるな」というメッセージがオープンに示されるようになってきている。
先駆けとも言えるのがアムステルダムで、ちょうど1年前に招かれざる客に対して来ないよう呼びかける「Stay Away」キャンペーンを立ち上げていたが、The Independentによるとこのほど同キャンペーンで新フェーズを開始。
18歳から35歳の英国やドイツ、フランス、スペイン、イタリアの男性をターゲットに訪問目的をクイズ形式で聞く特設サイトを開設したもので、例えば訪問目的で「スタッグパーティー(※男だけのパーティー、特に結婚前夜に花婿のために開催されるパーティー)」を選んだり、宿泊先でホテルなどではなく「自分の車」を選んだりすると、それが禁止されている事実や実行した時に起きうるトラブルなどを伝える内容となっている。
また米国でも、マイアミビーチ市が春休みの旅行者に「NO」を突きつける動画を公開。パートナー間の別れ話のような体裁で「もううんざり」だと強く訴えるもので、どうしても来るというなら覚悟しろと手荷物検査や飲酒検問、ビーチの入場制限、高額な駐車料金などが待ち構えていると強調。動画は公開から約1ヶ月での再生回数は36万回を数え、コメント欄でも「いったい何をしたら市がこんなキャンペーンをすることに」「100万%賛成」など肯定的な意見が多く見られている。
・またところ変わって西オーストラリア州でもデンマークという小さな町で「HOMETOWN NOT TOURIST TOWN!」という看板が住民の手で設置されて議論を呼ぶ結果となったとのこと。看板自体はすでに撤去されたものの、かつては静かな街であったところからコロナ禍をきっかけに「観光客が急増」し「宿泊施設を含めたインフラ不足」もあって街に負担がかかっている状況のため、観光客を歓迎する(=看板を批判する)住民がいる一方で「多くの人々は観光収入には興味がない。ドラマのない、ただ平和な暮らしがしたいだけ」といった声も出ているという。
なお、マイアミビーチの動画について米Travel Weeklyは「別れのメッセージというより接近禁止令のようなもの」と表現したうえで、SXSW(South by Southwest)でコミュニティベースのツーリズムをテーマに議論したパネルディスカッションの概要を紹介。全編を視聴できる動画も埋め込まれている。
Covidでは経済を回す名目で感染対策を撤廃したものの
インフレで庶民の生活はよくならず、観光地の住民も受入忌避するほど観光産業リオープンのメリットをデメリットが上回っている状況、本当笑えない