各国の入国制限緩和とともにレジャー需要が急回復する一方、業務渡航の回復は遅れている。

PhocusWireによると、デロイトの調査では、企業が投じる出張費がこの第2四半期で2019年比36%となって年末でも55%に留まり、2023年末で68%となると予想。

デルタ株とオミクロン株の出現が再開の先延ばしにつながったといい、渡航制限や費用への懸念、従業員の出張意欲の低下も原因として報告されている。

リモートワークの浸透も影響しており、在宅勤務の制度がある会社では36%が2023年末までに出張費が2019年水準に戻ると予測した一方、オフィス優先の企業ではこの割合が71%に倍増するという。

また、サステナビリティへの取り組みによる出張抑制も予見されており、回答した出張管理者の35%は従業員の出張時期や方法に影響を及ぼしているとしたほか、ほとんどの回答者が2025年の出張費がサステナビリティに関連して10%以下の削減を見ると予想しており、さらに30%は11%から25%までの削減を想定。

この点についてはTravel Weeklyも、特に日帰り出張の制限や航空から鉄道への切り替え、会議出席人数の見直しなどが焦点と伝えている。

またホテル側からも厳しい見通しは示されており、HOTEL NEWS RESOURCEによると、アメリカン・ホテル&ロッジング協会(American Hotel & Lodging Association、AHLA)がKalibri Labsと共同で発表したレポートでは、米国のホテルが2022年に得る業務渡航の収入は2019年比23%減となり、200億ドル超の減収になると予想。2020年と2021年が合わせて1080億ドル規模であったことからすれば回復だが、その道のりは険しいものとなりそうだ。

都市別ではサンフランシスコ、ニューヨーク、ワシントンDCなどで下げ幅が大きく、州別ではワイオミング、ワシントンDC、ニューヨークなどの順となっている。

AHLAの別の調査では、コロナ禍の「Zoom疲れ」もあってか米国の出張者の多くが対面式のミーティングが重要と考えていることも分かっているが、リカバリー初期には累積需要の顕在化が見られるものの半年程度で出張者は必要な相手とのミーティングを終えることになり、その先に出張が続くかは不透明との指摘もある。

なお、こうしたなかで鍵となるのは世界中に社員がいるわけではない中小企業の需要で、TMC各社でも中小企業獲得の取り組み強化が続いている。