The Guardianによると、環境保護団体Possibleはこのほど、2000年から2021年の間に航空業界が自ら設定した50の気候変動対策の目標のうち実際に達成されたのは1つだけだったとする報告書を発表した。
それらの目標は多くが定義が不明瞭だったりモニタリングが不透明だったりし、さらに報告にも一貫性がなく評価が困難であったほか、さらに期間中に突然目標が変更、大体、廃止された例も多く見られたという。
例えばヴァージン・アトランティック航空は2007年に、2020年までに売上単位あたりの二酸化炭素排出量を30%削減する目標を発表したが期間の半分以上が経過した2014年には8%しか達成できてなく、同年のサステナビリティレポートでは「ペースを上げなければならない」としていたものの2020年のレポートでは目標への言及がなくなり、2021年には2026年までに15%削減との新たな目標が発表したという。
英政府は航空会社による排出量削減について企業側の自主規制に任せる計画だが、Possibleはその実効性を疑問視し航空輸送サービスの大部分を利用する一部のフリークエントフライヤーへの課金による削減を要求するべきだと指摘。なお、記事では企業側のそうした慣行について問題点を指摘する一方、運輸省の反論も紹介している。
また、輸送による環境負荷の問題に取り組む団体TRANSPORT&ENVIRONMENTはSTAND.earthと共同で、グローバル展開する欧米の大手企業230社について業務渡航による排出量を削減する取り組みを評価するレポートを発表。
これによると、取り組みがAランクと評価されたのは製薬会社ノボ・ノルディスクや保険会社のスイス・リー、ロイズ・バンキング・グループ、アーンスト・アンド・ヤング、クレディ・アグリコルなど8社のみで、193社がCからDに分類された。
目標の「公表」が重要な指標となっているため実際には目標を掲げていたり取り組みに力を入れている可能性もあるものの、最低の評価となったグループのなかでもレッドブルなどは最も低い点数となり、それ以外でもフォルクスワーゲンやマイクロソフト、ジョンソンアンドジョンソン、IBM、グーグル、フェイスブックなどの企業もD評価となった。
TRANSPORT&ENVIRONMENTでは企業に対し、「2025年かそれよりも前に、2019年比で航空機の利用を少なくとも50%削減する目標を公に発表すること」「航空機から他の交通手段への切り替えを進めること」「排出量削減の進捗を報告すること」の3点を要求している。