デロイトはこのほど、ホテル運営の展望について新しいレポートを発表し、テクノロジーの活用が進む未来においてもむしろ今以上に人に焦点を当てることが重要だと予想している。
今後も、ロボットが手荷物を届けたり客室内の鏡でその日の最新ニュースを配信したりするテクノロジーは着々と進んでいくものの、旅行者の評価はそうした道具によって決まるわけではないとの考えで、その時々の滞在ごとに異なる旅行者のニーズを捉え、旅行者の期待を超えてそれに応えていくことが重要になると指摘。
従来のホテルブランドは「スタイル」「クオリティ」「バリュー」が重要な構成要素で、これまではブランドを通して共通の体験をすべてのホテルですべての宿泊客に提供していればよかったが、これからはすべての宿泊客が「今回の滞在」に合った体験を求めるようになり、そうしたニーズに合った繋がりや利便性を提供することが成功の鍵になるとしている。
そして、そのために取り組める5つのポイントも列挙。1つ目はキュレーションで、客室の内装やアメニティ、備品などについて様々な選択肢を用意して宿泊客のその時々のニーズに合ったものを提供。客室の家電や備品で気に入ったものがあれば購入にまで進む可能性もある。次は宿泊客同士の交流で、ホテルが宿泊客について得ている情報が役立つとした。
3つ目は地元との連携で、地域のコミュニティセンターとしての役割を果たし、宿泊客はその場所に来ただけでなく、本当の意味でその土地に滞在することができるようになる。
4つ目は空間の有効活用。ホテル内はもちろんのこと、3つ目と同様に地域にも目を向けることで例えば近隣の空き家や空き部屋などでの宿泊サービスを提供可能。そして最後はデロイトが「振付師」と表現するポイントで、ゲストの行動に先回りして客室内の準備や交通手段の手配などをすることとした。