DEI(多様性、公平性、包括性/ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の重要性の認識が全世界で高まるなか、パリでは女性や黒人の人々の物語をテーマとしたデイツアーが催行されている。
DW.comが取り上げたのは、他のツアーではあまり語られることのない「女性がパリの成り立ちに果たしてきた役割」にスポットライトを当てたツアーで、パリで活躍した女性作家たちの苦闘の足跡を辿るもの。欧州初の女性のための出版社や、ベストセラー作家でショパンらとも浮き名を流したジョルジュ・サンドが暮らした家などを訪問。
ツアーの創業者は「他のツアーでは勇敢な男性を美化し、マリー・アントワネットやカトリーヌ・ド・メディシスなどの女性を悪者に、その他の女性は愛人やミューズとしてしか扱わない」と問題点を指摘しているという。
一方、DAILY BEASTは黒人による黒人をテーマにしたパリツアー「Le Paris Noir(黒いパリ)」を紹介。黒人はアメリカにしかいないといった思い込みもあるなかで、奴隷制度や植民政策、移民の歴史など通常のパリツアーでは取り上げない視点を採用している。黒人の血を受け継いで「モンテ・クリスト伯」や「三銃士」などの名著を遺したアレクサンドル・デュマなども取り上げているという。
訪日の世界でも、こうした新しい切り口のツアーが望まれているかもしれない。