2022年も残り1ヶ月と少し。日本の旅行観光産業もようやく本格的な回復の光が見えてきたところだが、果たして2023年はどのような1年となるのだろうか。海外メディアでも現状と今後についての記事が増えているが、その内容は楽観と悲観に大きく分かれている。

PhocusWireは自社主催イベントの内容を掲載し、登壇者の意見が分かれたことを紹介。記事の書き出しで「アジアは例外として、業界のほとんどがコロナから回復し場合によっては2019年レベルに到達、あるいはそれを上回っている」としつつ、ウクライナ戦争やインフレ、燃料価格の高騰、人件費などの問題が影を落としていると指摘した。

2023年前半の見通しについてアゴダのVPは、遅れて開国した日本と韓国が「爆発」し中国も来年には続くと予想できることからアジアには6ヶ月から12ヶ月のリベンジ需要が見込めると分析。一方、別の専門家は第1四半期に「大混乱」の可能性を指摘し、さらに別の登壇者は過去数年間の変化に対応するための「再編と洗練」が求められると答えたという。

一方、Hospitality Insightsによると、ホテル投資家を対象にした景況感調査では第3四半期のスコアが第2四半期の51.5から44.3へと減少。特に今後12ヶ月間における法人需要の伸びに対する確信度は28.3ポイントも低下して40.5となり、レジャー需要も動揺に17.5ポイント減の45.0となった。

Hospitality Insightsも指摘しているように、大手航空会社やホテルなどの経営者は予約は好調であり収益性はコロナ前の水準を取り戻しつつあると強調し続けているところで、このギャップは注目に値する。ちなみにホテル投資家は現在、HOTEL NEWS RESOURCEによると、JLLの調査では施設を一から建設するのではなく既存施設の改装やリブランドなどに機会を見出しているという。

一方、TTG Asiaによるとエクスペディアは旅行業界関係者の間で2020年以降で最も楽観的な見方が広がっているとするレポートを発表。2年以内にコロナ前の水準に戻るとの回答はレジャーで71%、ビジネスで70%だったという。回答者が重視する投資分野ではマーケティングと並んでサステナビリティが上位となり、5人に1人が2023年にサステナビリティへの投資を予定しているという。