「モノからコトへ」の変化が進み、旅行業界でも目的地が先に決まるのではなく「何をしたいか」という目的が先行する時代の到来が示唆されているが、海外メディアではそうしたトレンドを裏付けるような新しい旅行ビジネスを取り上げる記事が続いている。

先週TRVLWIREで取り上げた、NHKの人気番組「ブラタモリ」のように地質学にフォーカスして地形の成り立ちと文化や歴史、景観などの観光の魅力を組み合わせた旅行を提案するGeoCulturaはその一例だが、GLOBETRENDERが1月末に紹介したUp Norwayはノルウェーの「女性」をテーマに設定。ノルウェーは性の平等において世界有数の先進国だが、Up Norwayはその歴史的背景や現在活躍する女性起業家やアーティストに焦点を当ててツアーを企画している。

また、こうした話題で最も注目されている1社がアブダビ発のDHARMAで、人々の関心や熱意、「パッション」を軸とする旅行ビジネスを追求。SkiftTRAVOLUTIONが同社のビジネスモデルを解説する記事を公開しているが、例えばフランス代表やマンチェスター・ユナイテッドなどで活躍したサッカー選手、エリック・カントナ氏と組んで観戦や応援のワークショップ、一流ジャーナリストによる戦術ブリーフィングなどの体験を提供。また、世界有数の酒造メーカーであるペルノ・リカールとは酒をテーマに世界各地を訪れるツアーに取り組み始めた

DHARMAの特徴は「餅は餅屋」の発想でテーマごとのスペシャリストと手を組むことだが、新たに自社運営で体験のマーケットプレイスも立ち上げ予定とのこと。こうしたマーケットプレイスではtrovatripが先行しており、例えば「food」のテーマで検索すると2023年2月13日現在で83件の商品が表示され、この中には日本で6日間をかけて釣りをしたり食べ歩いたり観光をしながら大阪から高松へと向かうプランも掲載されている。

ちなみに同プランは宿泊費なども含めて1人3695ドルからで販売されているが、旅行業登録の有無は不明。こうしたインフルエンサー的な個人が旅行を販売できるようにするプラットフォームは他にも出現しており、日本では旅行業法との兼ね合いが今後問題になる可能性があるが、逆に言えば旅行会社にとっては好機にもなるはずだ。

このほか、GLOBETRENDERの別の記事では、英国の豪華列車ブリティッシュ・プルマンが車内での殺人事件をテーマにしたドラマ仕立てのツアーを専門業者と組んで企画したことを解説。この「ドラマ仕立て」もひとつのトレンドで、ジェームズ・ボンドアガサ・クリスティーに特化したツアーや、トレジャーハンティングをテーマにしたヨットでの冒険旅行なども登場している。