マッキンゼーは3月15日、旅行観光産業のスタートアップ企業について資金調達などのトレンドをまとめたレポートを公開した

マッキンゼーはまず旅行観光産業による調達額が他の産業に比べて少額であることを指摘。具体的には産業によるGDPへの寄与額が2019年にはグローバルで10%超であったにも関わらず、過去15年間の調達額は全産業の調達額の1%程度に留まったという。

とはいえ2020年から2022年までに旅行観光産業に投下された資金の額は270億ドルに達しており、特に2021年には110億ドル近くで過去最高を更新。投資意欲がすでにコロナ前を上回っていることを示している。

そうした中での傾向としては、案件あたりの調達額が2010年には400万ドルだったところが2022年には2000万ドルへと上昇。資金を手にできるスタートアップが少なくなっている一方、選ばれたスタートアップが獲得する額は高額化しているという。

またシリーズB以降の投資ラウンドや買収、株式公開が増加。シリーズAまでのアーリーステージとシリーズB以降についてそれぞれ2010年~2015年と2020年~2022年の金額を比較すると、アーリーステージは1.79倍となった一方、シリーズB以降は3.89倍となっており、全体に占めるシェアもシリーズB以降は2010年~2015年に80.6%だったところから2020年~2022年には90.1%へと上昇。すでに成功が確認されているスタートアップの人気が高くなっていることが分かる。

分野別ではホスピタリティ系が人気で、2020年~2022年では全体の41%を占めた。特に民泊関連が牽引している。また業務渡航関連のシェアも10年前と比べて5倍以上に拡大。特に経費管理など法人向けサービスなどが人気という。このほか「旅ナカ」関連のスタートアップもシェアを拡大している一方、「旅マエ」は不人気の様相だ。

レポートでは各項目についてグラフを交えて詳細が説明されているほか、旅行会社による投資が極めて少なく、生存と成長のためにはより積極的にスタートアップの支援に関与することが必要とも指摘されている。