ChatGPTの登場で一気に注目の高まった生成型AIについて、世界の旅行観光産業では取り組みや期待について企業ごとの乖離が大きくなっている。
大手のなかで最も積極的な姿勢を見せているのはTrip.comで、ChatGPTをベースにしたAIチャットボット「TripGen」を導入しユーザーからも好評を得ており、Google版の生成型AIであるBardのテストも計画中だ。最近TripActionsから社名を変更したNavanも「出張者のためのスーパーアプリ」実現のため生成型AIの活用を決めている。
また、マイクロソフトもChatGPTを融合した「新たなBing検索」の使用例として旅行検索を提示。このほか、時間がなかったり文章が苦手だったりする催行業者に代わってツアー&アクティビティの商品紹介文やタイトルを生成するツールなども登場している。
一方、Skiftによると、ExpediaやBooking.comはポテンシャルは認めつつも様子見モード。将来性はあるが課題も大きいとの認識だ。
問題は、ネット上の情報を活用して自然な文章を素早く生成することには長けている一方、その中身が必ずしも正確であるとは限らない点で、場合によっては嘘をつくことすら報告されている。
このため、しばらくの間は上述のツアー&アクティビティ用ツールのように人間の代わりに文章を「下書き」する形式での利用が早く浸透していく可能性が高く、例えばイベントテック企業でもイベント参加者向けにメール文面などを自動生成するツールを発表済み。
またメディアでも、例えばBTN Europeは業務渡航分野でホテル向けのRFPに含めるサステナビリティ関連の質問事項を生成した事例などで性能の高さを紹介しているほか、Skiftは音声ガイド付きのセルフガイドツアーの分野は生成型AIの登場で既存企業の競争力が著しく低下する可能性があり、クリエイティブで独自性の高いコンテンツ作りが必要になってくると予想する記事を公開している。