以前から旅行会社敵視の姿勢を隠そうとしないマイケル・オライリー氏が率いるライアンエアーとOTAの対立構造が激化している。

ライアンエアーは直販に特化して事業を展開しているが、OTA各社はライアンエアーのウェブサイトをスクレイピングして座席を販売しており、これに対してライアンエアーはこれまでに数々の訴訟を起こしているほか、OTAでの購入者に対し直販との差額を提示したり理由を付けて搭乗を拒否したりして対抗している。

こうしたなかで、TRAVOLUTIONによると、このほど英国のOTAであるOn the Beachがライアンエアーについて、自社に対する「虚偽の内容による中傷キャンペーン」を展開し、またOTAを排除することで競争法に違反していると高等裁判所に提訴した。損害賠償と差止命令を求めている。

「中傷キャンペーン」では、ライアンエアーが「OTAはライアンエアーに対し顧客に関する偽の情報を提供している」「偽のクレジットカードを使用している」「返金を妨害している」といった「事実に反する主張」を繰り返してきたと主張。

またOTAの排除では、OTAのユーザーがオンラインチェックインをしたり予約を管理することを拒否している、「煩わしい手続き」を追加したりして「お客様の体験を悪化させ、顧客関係を乗っ取ろうとしている」、さらにOTAから予約した顧客への返金を拒みOTAに経済的圧力をかけている、と訴えている。また、旅行会社にとって不可欠な航空路線において支配的な地位を乱用し競争法に違反しているとも訴えている。

この動きに対し、業界からは応援する意見が聞かれる一方、そもそもライアンエアーのように協力的でないサプライヤーとは縁を切るべきで、そうしないのは顧客に対して無責任とする意見も取り上げられている。

なお、オライリー氏は、以前から旅行会社やOTAを「詐欺師(scam artists)」「愚か者(fuckers)」といった表現で非難することでも知られるが、矛先は旅行会社のみでなく当局やブリティッシュ・エアウェイズなどに対しても強い言葉を用いている。