アメリカン航空(AA)がNDC体制への移行を目的に従来型のGDS接続から運賃の4割を引き上げてから1ヶ月以上が経過した。

すでに接続方法の違いによる運賃の格差が明らかになり、米国トラベルアドバイザー協会(ASTA)が撤回を求めて米司法省に提訴するなど状況は混乱したままだが、BUSINESS TRAVEL NEWSによると、同社COOはこれまでの結果について「非常に自信を持てる(extremely encouraged)」内容と表現し順調さをアピールしているとのこと。

直販とNDC経由の比率は2019年第1四半期に比べて10ポイントから12ポイント上昇して60%を超えており、第2四半期末にはさらに10ポイント程度高くなる見通しで、年末には80%以上に引き上げられると期待しているという。

これに対して旅行業界側では、AA側に立ってNDC体制での販売を積極的に推進する会社とそうでない会社の立場の違いが鮮明になったり、ASTA以外でも不満が表出したりと混乱が続いているところ。

例えば、PhocusWireによるとグローバル・ビジネストラベル・アソシエーション(GBTA)が4月中旬に業務渡航関係者803名から回答を集めた調査では、AAの決断を指示しないとの回答は全体の60%となり、AAに限らず航空会社による動きは性急に過ぎるとの回答も53%で、これに対して十分な時間があったのだから準備できているべきとの答えは29%となった。

またBUSINESS TRAVEL NEWSはこれまでの約1ヶ月間を振り返る記事を公開。これによると、流通経路による運賃の格差は直近で最大330ドル以上にも達しているという。

そしてこれ以外でもBTN EuropeがCWTとアメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル(AMEX GBT)のCEOによる懸念について報じたり、PhocusWireはAAに同調する立場のTMC経営者の寄稿文を掲載したり、米TRAVEL WEEKLYが米系航空会社を中心に各社の戦略の違いや今後の見通しについて説明したりするなどNDCに関するコンテンツも引きも切らない状態で、業界内における注目の高さが伺える。

なお、米Travel WeeklyによるとAAは6月1日から自動再予約ツールの利用を禁止することを決めたといい、旅行会社に対する厳しい姿勢の一つとして紹介されている。


※BUSINESS TRAVEL NEWSの2本目の記事について追記(2023年5月15日10時54分)