旅行需要がコロナ禍から急速に回復するにつれて世界各地でオーバーツーリズムの問題が顕在化してきているが、世界のメディアが住民の怒りや新たに導入された対策などを伝える勢いは衰える様子も見られない。

Euronewsによると、スペインのガステルガチェでは海外ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」の舞台となったことでファンが殺到。2019年の夏には1日で6434人が訪れた日もあるなど多くの旅行者が集まり、海鳥の繁殖活動にも影響が出ることから人気観光スポットである教会での鐘を鳴らす行為が原則禁止に。事前予約制が導入されているものの問題の解消には繋がってなく、記事では住民の「破滅的(disastrous)」との声も取り上げられている。

同様に英INDEPENDENTは、湖水地方のカッスルクームの住民が「ロックダウン中は良かった」と嘆き旅行者への怒りをあらわにする様子を紹介。またEuronewsは別の記事ではポルトガルがビーチで大音量の音楽を流した海水浴客に最大3.6万ユーロの罰金を科すことを伝えている。

オーバーツーリズム対策は人数の制限か特定の行動の禁止が中心で、最近ではドゥブロヴニク(こちらもゲーム・オブ・スローンズの舞台に)でスーツケースの利用を制限。Travel Off Pathによると、正確にはスーツケースの持ち込みが制限されたわけではないものの、旧市街の石畳の上では車輪付きスーツケースを転がすことが禁止された。一方、別の記事ではギリシャのアクロポリスでは入場のタイムスロット制度やツアー専用のファストレーン、Eチケット制などが導入されたことも紹介している。

なお、旅行会社のなかにはこうした問題に真剣に向き合うことで他社との差別化に繋げるところも出ており、G Adventuresはマスツーリズムの弊害を描いたドキュメンタリー映像を制作。欧米で公開している。