アマデウスの幹部がhospitalitynetに2022年の旅行観光市場で予想される6つのトレンドを紹介する寄稿を掲載している。
1つ目は「一生に一度」で、世界一周クルーズや長距離の旅行などの増加を予測。アマデウスでも野生動物が人気のタンザニアへの検索が前年から36%増加しているほか、マチュピチュに近いリマとクスコへの予約は約50%増加。さらに、ヨルダンのペトラへのフライトも22%増となっており、こうした傾向はインド洋の島々や南極への旅行でも見られるという。
2つ目は友人との旅行、「フレンドケーション」。2022年はコロナ禍の分断を経た「再会の年」となるとの予測で、友人や家族と合うための旅行やグループ旅行はすでに増加。例えば英国では制限緩和とともに大規模なグループ旅行が爆発的に増加し、大型レンタル物件を扱うBig Cottagesでは20人以上のグループ予約が600%増となったという。またアマデウスでも、友人同士の旅行で人気のカンクンやカルタヘナの検索が2倍以上に増え、ハワイやラスベガス、欧州ではバルセロナやイビサ島への関心が高まっている。
3つ目は「アクティブ・エコツーリズム」で、環境や社会への配慮と旅行への情熱を両立しようとする意欲が高まる。業界側でも、カーボンオフセットより前に進み、ポジティブな影響を測定可能な形で約束する業者が増えているという。旅行の一環でコミュニティの再建に貢献したり、地元に消費が直接還元されるようにしたりするなど、目的意識を持った旅行に注目が高まっていくと見られ、デスティネーションでもコスタリカへの検索は234%増、アイスランドへの予約も11%増となっている。
4つ目はレジャーを離れて業務渡航についてで、あるデータでは出張者の72%が来年の出張を希望。半数は今年中にビジネス目的で飛行機を利用すると答えたという。また、出張中のモバイル決済の浸透などの変化も予測している。
そして5つ目は動画配信サービスと旅行意欲の結びつきで、コロナ禍でテレビや動画配信サービスの利用が増えた中で、その視聴体験が次の旅行先を左右する可能性を指摘。国連世界観光機関(UNWTO)も最近ネットフリックスと共同で同テーマについてのレポートを発表している。
以前から「ローマの休日」を観てローマを目指す旅行者はいたが、これからの世界ではテクノロジーによりAlexaが最近視聴した動画の撮影地に基づいて旅行のアイディアなどを提案する未来が来る可能性があるという。
最後は交通手段の革新で、来年以降の話となるが最大1000kmでの運行も可能という「ハイパーループ」や超音速機、逆にゆっくりと旅したい層には高性能な気球で成層圏をめざす「ネプチューン・ワン」などが紹介されている。