かねてから対立が続いてきた英LCCのライアンエアーとOTAだが、ここに来て新たな展開が報告されている。
もともとライアンエアーは「LCC原理主義」的なビジネスモデルで直販に注力し、スクリーンスクレイピングなどで座席を販売するOTAを「海賊版」「詐欺」といった言葉で非難し度々訴訟も起こし、逆にOTAからも提訴されるなど対立の構図が続いてきていた。
しかしPADDLE your own KANOOによると、昨年末には本拠地であるアイルランドの訴訟でついにOTA各社に対する販売差止命令を勝ち取ったにも関わらず、その数週間後に宿敵であったはずのOTAを通した販売を開始したとのこと。
現在は英国のOTAであるLove Holidaysがパッケージツアーの素材としてライアンエアーのフライトを販売しているほか、Kiwi.comとも販売契約を締結。Kiwi.comはスクレイピングをすることなく直接座席を販売できるようになるという。
OTAに対する方針転換の実際の理由は記事中で明示されていないものの、OTAの販売停止がライアンエアーのビジネスを直撃したことでクリスマスシーズンも期待したほどの利益を確保できなかったことは同社も認めているところ。
広報担当者は、従来の対OTAの姿勢は「すべての消費者をOTAの過剰請求や詐欺から守り、偽の顧客連絡先や支払い情報が航空会社に提供される事態を撲滅する」ことを目的としてきたものの、今回の提携では「ライアンエアーの安価な運賃とアンシラリーサービスが超過料金なしで利用できるようになり全顧客の保護が実現される」とコメントしているという。