米下院でTikTokの国内事業を売却しなければ利用を禁止する法案が可決され大きく報じられているが、観光産業においては変わらず強い存在感を放っている様子だ。

今月はじめに開催されたITBベルリンでは、TikTokがセミナーを開催し観光マーケティングのツールとしての有用性をアピール。Breaking Latest Newsによると、自社の調査ではユーザーの77%が動画コンテンツから旅行のインスピレーションを得たと回答したほか、ドイツ語圏では60%がTikTok上の推奨をもとに旅行を予約することに前向きとの結果が得られたという。

またUSA TODAYはZ世代の旅行にTikTokが果たしている役割を解説したが、ここではTikTok上で活躍する旅行インフルエンサーの存在のほか米加英豪4ヶ国で学ぶ4000人の学生のうちTikTokで新しいデスティネーションを知ったと答えた割合が89%に達した調査なども紹介されている。

Skiftは3月7日にTikTokの幹部へのインタビュー記事も掲載。コロナ後のリベンジ需要とともにTikTokを旅行を発見するツールとして利用するユーザーが増加し、それを受けて企業や観光局などで力を入れる例も増加。Breaking Latest Newsの記事で取り上げられているTUIの事例では、旅行のTipsを紹介する動画が人気を得て総再生回数は420万回に達し認知度の引き上げにも成功している。

クリエーターと手を組む企業も増えているが、PhocusWireによるとアクティビティOTAのGetYourGuideは新たに専任のTikTokコンテンツクリエイターの採用を計画(しかも米国で)しているという。

ちなみに、PhocusWireでは法案可決を受けて影響を探る記事を早速公開しているが、実際に禁止されない可能性も依然高いことや禁止されたとしてもTikTokユーザーへのマーケティング機会は引き続き残ると見られるとの意見が紹介されている。

TikTok上で旅行関連コンテンツで成功を収めるには?

SkiftのインタビューではTikTokの旅行観光分野における現状や活用の可能性などについて幅広く言及されているが、食事やウェルネス、ファッション、美容など人気のテーマに着目することの重要性も語られており、業界側が「旅行の分野だけに留まらずそうした分野にも関係しておくことが重要」とのコメントも書かれている。

またTikTokで活躍するのは体験を正直に投稿するクリエーターで、旅行先の美しさや素晴らしさばかりを投稿するのではなく「時には本当につらい一日もある」ことも見せることが重要だとも説明されている。

望まざる拡散も

なお、そうした「正直」な投稿がこれまでにない露出に繋がる例もある。最近ではロイヤルカリビアンが9ヶ月をかけて運航している「Ultimate World Cruise」が思わぬ注目を集めており、暴風雨に見舞われた船内が洪水のような状態になった動画が150万回を超える再生回数を獲得したり、リアリティ番組のような関心を集めたりしているという。