英国の消費者団体Which?はこのほど、旅行による環境負荷の軽減のためには、旅行会社などがその旅行で生じる温室効果ガスの量を分かりやすく伝える「カーボンラベリング」の取り組みが必要だと説明する記事を公開した。
例えば、ヒースローからドバイ経由でマーレ空港にエコノミークラスで向かい、水上飛行機に15分乗り、オールインクルーシブの4ツ星リゾートで8泊する場合、約2931kgの温室効果ガスを排出することになり、これは自宅でシャワーを15分浴びることを8年間毎日続けるのと同じ量に相当。
また、エコノミークラスでヒースローからマイアミへ向かい、車でフォートローダーデールへ移動して大型客船の7泊クルーズに参加する場合は3116kgで、英国を縦に車で7往復するのと同じ量の温室効果ガスを発生させるという。
一方、ヒースローからチューリッヒにエコノミークラスで移動し、ツェルマットからサンモリッツまでグレッシャー・エクスプレスとベルニナ・エクスプレスのファーストクラスに乗車し、3ツ星ホテルで7泊すると、ケーブルカーやハイキング、サンモリッツ湖のボートなどのアクティビティを含めても290kgまで減らすことが可能。
調査では、英国の消費者のうち60%近くがこうしたカーボンラベリングは良いアイディアであると評価し、約50%はより環境負荷の低い選択肢があるならそちらを選ぶと回答。カーボンラベリングに反対したのは11%で、その理由は主にカーボンオフセットの仕組みや排出量計算自体への不信感だった。
英国では、Much Better AdventuresやPura Aventuraなどごく一部の旅行会社はすでにカーボンラベリングの表示を開始しているという。
なお、記事では旅行時の排出量を減らす方法にも言及しており、「なるべく飛行機を利用しない」「エコノミークラスを利用する」「荷物を軽くする」「レンタカーより公共交通機関やレンタル自転車を選ぶ」「地元のガイドを雇う」「エアコンや温水などエネルギー消費に気をつける」「食品廃棄を避ける」「肉や乳製品は少なめに」「ホテルに使い捨てプラスチックの廃止や再生可能エネルギーの利用を呼びかける」ことを紹介している。