国連世界観光機関(UNWTO)は8月1日、今年1月から5月までの期間に国外へ旅行した人の数が全世界で累計2.5億人近い規模となったとのレポートを発表した。前年比は3.2倍で、2019年比も46%とほぼ半分まで回復したことになる。

受け入れ先として2019年比の回復が早いのは中東とアフリカで、前年比は257%と256%だが、2019年比は54%と50%に達した。欧州は完全開国する国が増えたこともあって前年比450%と大きく伸長し米州も212%となったが、2019年比は36%と40%となった。アジア太平洋は前年比94%増、2019年比10%に留まっている。

消費額も回復傾向にあり、フランス、ドイツ、イタリア、米国の旅行者がすでにコロナ前の70%から85%に達したほか、インド、サウジアラビア、カタールはコロナ前の水準を上回っている状況。これによりポルトガルやルーマニア、トルコ、メキシコ、バングラデシュなどの国々では観光収入額が完全に回復しているという。

景気後退やウクライナ戦争、新たな変異株など懸念事項もあるものの、UNWTOでは年内の海外渡航者数について、コロナ前の55%から70%にまで回復するとの予想を示しており、特に欧州と米国は80%近くまで戻す可能性もあるとしている。