中国でゼロコロナ政策の転換により感染が急増しているのを受けて各国が入国制限を強化しているが、国際航空運送協会(IATA)や国際空港評議会(ACI)ヨーロッパなどは過去3年間の経験やエビデンスに反するものとして批判の声を上げている。
中国からの入国者に対しては日本のほか米、英、フランスやイタリア、スペインなどEU各国、カナダ、豪州、韓国、インド、モロッコなどが検査要件を復活。日本は検査を抗原検査からPCR検査へと変更することも決定した。
一方、インドは中国だけでなく日本、韓国、香港、タイの4ヶ国・地域についても検査を再導入。入国者の2%についてランダムに検査する措置も開始している。さらに中国政府はこうした状況への対抗措置として入国制限を強化する可能性を示唆しているとのこと。
オミクロン株登場で往来再開の期待が急速にしぼんだ2021年末から2022年始めにかけてを思い出させる様相となりつつあるが、TTGによるとACIヨーロッパは「コロナと懸念される変異株の感染拡大を防ぐ目的に対して入国制限が役に立たないことは、欧州疾病予防管理センターと国連世界観光機関(UNWTO)が明確に認識している」とし、IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長も「過去3年間で効果がないと証明された措置がこのように場当たり的に復活するのは極めて残念」とコメント。
過去の研究では入国制限を導入しても変異株の流入は防げず感染拡大のピークが数日遅くなる程度との結果が出ており、IATAやACIは政治ではなく科学に基づいて決定するべきと訴えている。
両団体以外でも、TTR Weeklyはマレーシア旅行業協会(MATTA)が入国制限を思いとどまるよう求めていることを紹介。MATTAプレジデントは「2022年はじめの国境開放以降、我が国は回復に向けて着実に進展を遂げてきたが、適切な計画なしに場当たり的な制限を再導入すれば、我々が達成してきたすべてのことを台無しにしかねない」と語っているという。
またBTN Europeによると、英国のビジネストラベルアソシエーションも「業界全体にとっての不意打ち」だとして再考するよう求めている。