米国での物価高騰について日本でも目にする機会が多く旅行需要への影響も出ていると考えられる昨今だが、現地の業界誌などでもここにきて価格を含めて観光の競争力低下を危惧する論調が増えてきているようだ。

Skiftが3月11日付けで公開したマーケティングストラテジストによるコラムでは、ドバイの空港会社のCEOがJFK空港での入国時に合計4時間30分もかかった事例や、ホテル(特にラグジュアリークラス)で「法外」なほど値上げされる宿泊費とサービス品質の隔たりが広がっている状況を指摘。ホテルについては、ラスベガスのホテルでお茶を飲もうとしたが電気ケトルがなかったためお湯を頼んだら27ドルを請求された実例を紹介している。

そしてコラムでは、米国を訪れる旅行者はしばしば「ずさんさ、無作法、不手際」に直面したりぼったくりに合ったような不満を覚えたりするとし、それが米国へのインバウンドに悪影響を及ぼすとして改善の必要性を訴えている。

またBEAT of HAWAIIも、最近は物価の高騰やオーバーツーリズムなどハワイの旅行観光産業が抱える悩みを取り上げる記事が増加。例えば3月7日には物価についてバーガーキングの値段が全米平均の34%も高く、第2位のカリフォルニア州に比べても15%高い結果を示しつつ「実感としてはさらに高い」と説明。先月末にも外食の費用が1年前から8.5%増、ソフトドリンクは2ヶ月間で4.3%増となった(ただしアルコール飲料は0.9%値下がり)ことなどを示し、民泊で自炊すると負担が軽かったりフードトラックが人気となったりしている状況を紹介している。

一方のオーバーツーリズム関連では、米本土からの国内旅行を含めて訪問者数が芳しくない状況観光依存への脱却を模索している状況、州知事が民泊の制限や環境税の新設、宿泊税の増額を検討していることなども紹介。

また旅行者向けにディズニーランドのそれのようなアプリを構築し、州全体で使用できる人気スポットの駐車場予約や混雑緩和を目的とした代替案の提示、安心安全や文化などについてのガイドラインなどの提供を可能とするアイディアが示されていることも取り上げている。