TRAVOLUTIONによると、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)の流通部門の責任者が業界イベントで登壇してアメリカン航空(AA)のNDC戦略について言及した。

登壇したのはサム・ロビンソン氏で、英国の業務渡航系業界団体ビジネストラベルアソシエーション(BTA)のイベントに登場。「ジョイントビジネスのパートナーとして同じ旅路を歩んでいる。ビジョンは同じだが、戦略は少し異なる」とし、「どこに到達したいかという点では一致しているが、そこに到達する方法は異なるだろう」と語ったという。

AAはこの1年強の間NDCの推進について強硬姿勢を打ち出して旅行業界との対立を深めているところ。ロビンソン氏は、BAの2015年以来の進展について振り返りつつ「我々は皆さんと一緒に取り組みたいと考えている。我々はNDCの仕組みとコンテンツを開発することはできるが、皆さんの協力が必要だ」とし、その上で「「NDCを実際に使ってみてうまくいかないところを教えてほしい。それがなければうまく機能させることはできない」とコメント。

そして「すぐにすべてのコンテンツにアクセスできるようになると見せかけるつもりはなく、それを簡単なことだとも言ったりしない」としつつ、「しかし、もしNDCに取り組んでいないのであれば取り組む必要があるだろう」とも呼びかけたという。

会場では、アマデウスの幹部が国際航空運送協会(IATA)が掲げる主要航空会社のNDC比率を2025年までに30%、2030年までに100%とする目標などを示しながら「今後2、3年で大きな加速が見られると信じている。未来は大きく変わるだろう」などとNDCの持つポテンシャルをアピール。

これに対して業界側からは、NDCは「TMC側に押し付けられた未熟なソリューション」であってそうした急速な普及は現実味がないのではないかと疑問視する声も聞かれたとのこと。また、英Travel Weeklyによると、グラクソ・スミスクライン(GSK)のグローバルトラベルマネージャーもAAの戦略を批判したという。

なお、NDC関連ではAAの動きが強烈に目立っているが、フィンエアーもEDIFACT形式での流通を2025年までに終了することを決めてNDC専用運賃を導入するなど積極的に推進。これ以外でも、スカンジナビア航空は4月からEDIFACT経由での購買に課す手数料を増額してさらに最安値の運賃をNDC経由のみとすることを決定。

一方、カンタス航空は従来のQantas Distribution Platform(QDP)に加えて、さらに旅行会社がNDCコンテンツにアクセスしやすくなるよう新たなポータルを開設したという。