“まさか21世紀に、国連常任理事国の「国家対国家」での宣戦布告をみることになろうとは…”とTwitterユーザーが投稿して2月25日16時現在で4000件近い「いいね」を集めているが、これが多くの庶民の実感なのではないだろうか。

第2次世界大戦までの長い歴史で得た教訓を基盤として社会は形作られていて、少なからず不協和音やひずみは生じるとしても、いくらなんでもこれ以上はまずいだろうという最低ラインは守られるはず、と根拠なく思っていたがどうやらそうではなかった。

トランプ政権が誕生する少し前くらいから、自分が生きているこの時代は後世の歴史の教科書でどう書かれるのかと考えることがあったが、今回のこの愚行で初めてはっきりと具体的に想像できてしまった。

歴史は繰り返し振り子は右に行けば左に戻るものだが、今回の侵略は逆側にふれるきっかけとなるだろうか?米国や日本での社会の分断がさらに深まっている状況を見る限り、残念ながらまだそれは期待できないだろう。

むしろ、理解や共感より不信や否定が幅を利かせ、意見はより先鋭化していくはず。中国や北朝鮮が同じように「ならず者」の蛮行に出る事態を現実味を持って想像できるようになったわけだから、緊張状態は増す一方で近い将来に緩和に転じるとは考えにくい。そう考えると、今回の侵略行為は中国や香港などへの旅行需要にも中長期的に影響を及ぼす可能性がある。

コロナ禍で痛めつけられながら、出入国の制限が少しずつ緩和されてようやくこれからリカバリーへと向かおうとしていた業界にとっては無情な一撃だ。これから事態がどう推移するかにもよるが、ロシアや東欧だけでなくロシア上空を通過する欧州旅行をも躊躇する客層が出てくる可能性もある。そもそも海外旅行への意欲そのものを損なっても不思議ではない。

旅行・観光は平和産業と言われ、筆者自身もそれに意義を感じて取り組んでいるが、実際にはつくづく無力だと痛感させられる。

そのなかでも何ができるかを考えてみると、それでも人と人の交流を促進していくしか思いつかない。すべてのロシア人が暴挙を支持しているわけではないし、中国や韓国についても「国としては嫌いだが」という意見もよく聞くところ。草の根で少しでも相互理解のつながりを増やしていくしかないのではないかと思う。(松本)