OpenAIのChatGPTやGoogleのBardなどの登場で注目が高まる生成AIだが、旅行観光産業でも続々と利用事例が増加。専門メディアでも大きく力を入れるところが増えている。

特に目立つのは米国のSkiftとPhocusWire。いずれも4月以降だけで「ChatGPT」の文字を含む数十本の記事を公開しており、新しい活用事例や今後の可能性を伝えているが、Skiftはさらに一歩進んで自前のチャットボット「Ask Skift」を発表。「海外旅行のソースマーケットとして最も成長著しい国は」「旅行はサステナブルになり得るのか」といった質問に対して回答とともに関係のある過去の記事を紹介するサービスを提供している。


一方、関連コンテンツの数ではSkiftを上回る力の入れようであるPhocusWireは、新たな特集として旅行観光産業のプレーヤーが生成AIにどう向き合っているかを継続して取り上げていく新たな特集を開始。第1回に選ばれたのはトラベルポートで、2020年の上旬から可能性を模索し始め、現在は旅行会社の作業の自動化や顧客への提案のパーソナライズ、リアルタイムでの価格変更などでの活用に注力していることなどが紹介されている。

ちなみに、現在の生成AIの使用例としては自然言語での対話による旅程の提案や検索支援、顧客からの質問への回答などが主だがそればかりではなく、TMCのNavan(TripActionsから社名変更)は出張旅費の分析や管理に活用するツールを発表

また、文字によるチャットだけでなく音声アシスト機能を開発するOTAも登場しているほか、BookingホールディングスのCEOは生成AIによって「人間の旅行会社スタッフ」に替わるサービスを構築することも可能と発言しているという。

なお、生成AIについてはプライバシーの懸念や虚偽の情報の出力など問題も多く指摘されているが、TravelocityやKayakを立ち上げてきた起業家は自然言語によって顧客のニーズが明確に把握できる点だけで宝の山との考えを示している