この数日、海外の旅行観光系メディアで「グリーンウォッシュ」を取り上げた記事が多く公開された。グリーンウォッシュとは、表面だけ白く塗って傷や汚れを隠すという意味でごまかしや粉飾を指す「ホワイトウォッシュ」から作られた言葉で、主に企業が自社のサステナビリティに関する取り組みを実態以上に優れたものと広告などで主張することを批判的に指す言葉(LGBTQ+分野について「ピンクウォッシュ」も)。
記事が増えた要因のひとつは、たまたま米英両国で特定企業によるグリーンウォッシュ事案が注目を集めたため。米国では、デルタ航空が「世界初のカーボンニュートラルの航空会社」と標榜してきたのは誇大広告だとしてカリフォルニア州の消費者が提訴。集団訴訟として参加を呼びかけている。
原告側は、デルタが利用するカーボンオフセットではデルタによる費用負担によって二酸化炭素の吸収量が変化するものではないことを指摘しており、それに対してグリーンウォッシュの結果として消費者が他社よりもデルタを選ぶように仕向け他社よりも高い運賃を購入させたと批判している。
また英国では、TTGによると広告表現を規制する広告基準局(ASA)が旅行会社の広告で使われた「地球に優しい(planet-friendly)」との文言について、「ツアーに参加しても一切の環境に負荷をかけないと誤認させる」ものであり広告ではその根拠が示されなければならないとして再発防止を求められている。
ちなみにこの旅行会社は、世界のなかでも率先して環境問題に取り組み「B Corp」の認証まで取得しているIntrepid Travelで、同社は同じくTTGにCCOの文章を寄稿。サステナビリティに関する表現について規制が強化されるのは「良いことでしかない」と歓迎したうえで経緯を説明し、学びを今後に生かしていくと表明している。
また欧州では欧州委が3月22日にグリーンウォッシュを制限する規則を提案しており、HOTEL NEWS RESOURCEはこの案について概要やホテル側が注意すべき点などについてまとめた記事を5月30日に公開している。