アメリカンエキスプレス・グローバルビジネストラベル(Amex GBT)は3月25日、CWTを買収する最終契約を締結したと発表した。GBT、CWT、BCDの3社で世界3大TMC(Travel Management Company)と認識されてきたが、買収が実行されればこの構図が変化することになる。
買収予定額は5.7億ドル(約863億円)で、関係当局の承認などを条件に下半期の完了を目指す。統合による効率性の向上などにより最初の3年以内に約1.55億ドルのシナジー効果を見込む。
GBTのポール・アボットCEOは、「CWTを実績のあるアメックスGBTのソフトウェアとサービスのモデルに乗せることで、顧客の選択肢や従業員の機会を増やし、株主の価値を高めることができる」とコメント。
一方、CWTのパトリック・アンダーセンCEOも「GBTと手を組むことで、人とテクノロジーが融合し、卓越したカスタマー・エクスペリエンスを提供する、ビジネス・トラベルのテクノロジーを駆使した未来というビジョンを加速させることができる」とし、統合後の価値創造に自信を示した。
CWTは4000社の顧客にサービスを提供しており、2024年は売上高で約8.5億ドル、調整後EBITDAで7000万ドルから8000万ドルを見込む。米Travel Weeklyによる2023年の旅行会社ランキングではGBTがBooking HDとExpediaグループに次ぐ3位、4位にBCD、そして5位にCWTとなっている。
PhocusWireによると、旅行テック部門のM&Aを専門とするインベストメントバンカーはこの動きを賞賛。「ビジネストラベルは、顧客にとってもサプライヤーにとっても他のどの市場よりも規模の経済が重要」で、「規模の経済を実現し、適切なレベルの収益性を得るには企業の規模を大きくすることが唯一の方法」であると指摘したという。
TMCの世界では近年テクノロジー活用を前提としたスタートアップが相次いで登場し、Navan(旧TripActions)やTravelPerkといった新興TMCが急速に成長しているほか、コンカーの創設者が関わるSpotnanaも存在感を増しているところ。
そうしたなかで業界再編の動きも加速しており、GBTは2018年にも当時「ビッグ4」の1社だったHogg Robinson Group(HRG)を買収したほか、2021年にもExpediaからTMC部門のEgenciaを買収。一方、Navanは逆に「リアルTMC」と言える英国の老舗リード&マッカイを2021年に傘下に収めている。