1月に転居してからほぼ2ヶ月が経ってしまった。光陰矢のごとしと言うが本当に早い。

パンデミックも2周年を過ぎ、このままずっとこれが続くのではないかと感じてしまう瞬間もないではないが、諸外国では開国が進み旅行需要回復の報告も増えはじめている。今週メールで配信した記事で多く読まれた記事のうち2位から5位は制限の緩和や撤廃、リカバリーに向けての話題が占めており、読者諸氏の関心も高いようだ。

一方、サイト上でアクセスが多かった上位2本は「ワクチン未接種でも入国可能な国リスト」と「航空機内のマスク不要化広がる、オランダではKLMなどが政府決定に反旗」で、どうもアンチワクチンの人々の間で注目を集めているらしい。

海外の航空会社でマスクが不要になりはじめているといった情報を引用して、鬼の首を取ったように嬉々としてマスクは最初から意味がなかった、コロナは茶番だったというようなことをつぶやいているユーザーも少なくない様子で、そういうことの手助けをしたいわけではないのだがとジレンマも感じる。

ワクチンを打たないのは個人の自由だが、陰謀論や根拠の確認できない伝聞情報を盲信してそれを広めるのは責任が伴うべきではないか。筆者は2回の接種を終えているしワクチン接種を前提にした入国制限もどちらかと言えば賛成の立場だが、接種を他人に勧めることはしていない。最初は家族に打ってほしいと言ったが、万が一もあり得ることを感じてからは軽々しく言うべきではないと考えを改めた。

これに対してアンチワクチンの界隈では、さすがに最近は見なくなったがワクチン接種の開始当初は「注射を打った場所に電球を押し付けると点灯する」とか、よくそんなことを思いつくなという話が出回っていたし、今でもどう見ても怪しい情報が平気で飛び交っている。

ああいうのは、特に最初に投稿する輩は分かってやっているわけでそういう連中はネット上で発信する手段を制限すべきではないかと思ってしまうが、それだけでなくそれを信じて善意で拡散するような人々もいる。少し考えればわかりそうなものなのにと本当に信じられないし想像も共感もほとんどできないが、そうやって根本的に相容れにくいのが人間社会ということだろう。

今後は国内だけでも、ウクライナ侵攻によって防衛体制についての意見の対立が目立ってくるだろうし、エネルギー価格の高騰で原子力発電の活用をどうするのかという議論の必要性も高まる。そして国が違えばさらに意見が合わないのも当然で、ロシアの蛮行による断絶は日々見せつけられているし、米国の大分断も真っ最中だ。

これからの旅行観光産業は、そうした不確実で不安定な世界のなかで草の根で相互理解を深める役割を担うことになる。(松本)