コロナ禍でのリモートワークの浸透やサステナビリティへの取り組みの必要性などを理由に業務渡航需要は完全には回復しないとの見方が広がっているが、ここに来て景気後退への懸念も加わってきている。
Business Insiderによると、Googleが従業員の出張を「超重要」なものに限定し、社交行事やチームのオフサイトミーティング、バーチャルのオプションのある対面式イベントなどは承認しない方針を決めた。記事では、ハイテク企業が潜在的な景気減速に備えて支出を削減するなかでの動きとしている。
また、HOTEL NEWS RESOURCEによると、STRは7月に世界の出張者400人を対象に、現状とコロナ後のそれぞれについて宿泊を伴う出張をする可能性を聞く調査を実施。現状では2019年よりも少ないとの回答が55%を占め、コロナ後でも40%が少ないとの回答を選択。
5月の調査ではそれまでよりも改善が見られたものの再び低下に転じており、景気後退への懸念と最近の航空便の遅延や欠航が阻害要因となっていると分析している。
このほか、Skiftによると、業務渡航系スタートアップRampの調べでは米国企業の今後の出張予算が2021年比で24%減と絞られており、こちらも原因の一部は景気後退の可能性と指摘している。
ただし、回復を予想する声もないではなく、グローバル・ビジネストラベル・アソシエーション(GBTA)は(2年後ろ倒しながら)2026年には市場規模が2019年水準に戻ると予測。
また上記のSTRの調査でも、10室以上のホテル客室を必要とするイベントなどの出張は回復傾向としており、米国では6月の団体需要がレジャーも含めてではあるものの2019年比95%まで戻っていることを伝えている。回答者が前向きな出張の種類でも、業界のカンファレンスが63%、トレーニングやチームビルディングが61%などとなっており、一方で顧客との打ち合わせや本社の訪問など個人的な対面での交流は優先順位が下がったという。